Ronnie’s Voice

「今僕は100%スーパーGTに集中しているので、4度目のチャンピオンしか考えていないね。」

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2014年、見事3度目となるシリーズチャンピオンを獲得した、ロニー・クインタレッリ。

史上最多獲得数タイとなる偉業を達成した彼が、次のステージに向けて昨年の戦いを振り返り、今までとこれからを語り尽くす。
──3度目のチャンピオンを獲得したことによって心境の変化は起きた?


ちょっと安心というか、ほっとしましたね。
3度目のチャンピオンを取って、他の三人(脇阪寿一選手、本山哲選手、立川祐路選手)のドライバーに並んだというよりは、まず去年はNISMOドライバーとして2年目でようやくチャンピオンが取れてすごく嬉しく思っています。

以前いたMOLAチームでは2回チャンピオンがとれていたけれど、やっぱりNISMOドライバーとしてとりたかった。
もちろんそういう他の3人のドライバーと並ぶ結果になったことも含めて、2014年のシーズンは最高の1年でした。

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──2014~2015年のオフは、チャンピオンとしていいオフを過ごせたのでは?

NISMOドライバーになってからイベントも増えてきたし、チャンピオンを獲れたから忙しくなっていたんだけど、2014年の年末からお正月にかけてイタリアに帰りました。

2週間くらいゆっくりできたので、チャンピオンになった実感がその時に湧いてきましたね。
それまでずっと「本当に僕がチャンピオンを獲れたんですか?」って思っていて。

でもここ二年くらいは、イタリアの古い友だちも、僕のスーパーGTの成績に注目してくれているから、イタリアでもイベントとかで忙しいです。
向こうでもネットでレースの生中継を見ることができるから、すごい盛り上がってるね。

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──開幕戦の岡山は雨が降ったり止んだりする難度の高いレースだったが、どういう作戦だった?


岡山に行く前から車のセットアップに関して完璧じゃない部分があったんだけど、ロングランでのレースシミュレーションの結果は良かったんです。
予選でもしかしたら苦労するかもしれないと思っていたけど、レースは長いから。
ペースも良かったけど、ミシュランの対応も良かった。寒いときの路面温度に対して、昨シーズンの開幕戦と最終戦はあきらかに改善されていたから。

だからレースに関しては、自信がありました。簡単に勝てるレベルではないとは思っていたけれど。

岡山に行って、土曜日の予選はドライ。ドライ路面で予選走って、4番手。
4番手は、まぁ、予想通りというか...。まだ100%セッティング合ってない部分があったけれども、スタートとしてはまずまず。

その後レースの決勝では、天候不安定でスタートは完全にウェット路面。それでタイヤの選択が大事だったんだけど、チームとミシュランがもちこんだウェットタイヤがよかった。僕はレースのスタートの担当になって予想以上の展開で走れたね。

20周くらいでトップに立てて、そこまではチャンピオンチームらしいレースの展開だったんだけど......残念ながら、意外なブレーキトラブルがあって、リタイアにはならなかったけど、1回ピットに入ってしまったのが、大きなタイムロスになって残念な結果でした。

でも僕の中ではそこまでがっかりしてませんでしたね。
やっぱりいい速さが出せていたから。
勝てていたかもしれません。

37号車や100号車も速かったけど、最後までいいバトルができたかもしれない。37号、100号車とのバトルになっていたかもしれないね...。
ファンにもそういうバトルが見せれなくて非常に残念でした。

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──第2戦富士は本当に速かったけれど。

2010年から、富士スピードウェイのイメージドライバー(チェカレンジャー、ロニチェカ)の一人になっていて、三人(ほか、松田次生選手、平手晃平選手)の中で、僕だけシリーズで富士優勝してなかった(笑)。

富士は日本の中でトップレベルのサーキットだし、本当に勝ちたかった。
すくなくとも表彰台にのりたかった。それすらなかったからね。過去何年かの第2戦の富士はいつもトラブルが起きていたからね。

NISMOも岡山のドライ路面で、メカニカルな部分で足りなかった部分を直してくれていた。富士に行って、最初の朝のフリー走行で、走ってみて「あれ、これ速いな!!」と思ったよ。最初のフリー走行でクルマの仕上がりはすぐわかる。

最初の車の持ち込みのセットアップが悪かったら、なかなか立直せないから、この時の感触が大切なんだ。

だから、土曜日からいい流れができて。最初からドライバーのコンディションはもちろん、マシン、チーム、タイヤ含めてよかったから、
チームの中の雰囲気もよくて、流れも作って、そのあと予選、決勝とずっと繋がっていたね。

正直、予選のラップタイムをみると、12号車が速かった。
その印象があって、レースでも速いのはわかっていたので、こっちは本当に100%すべてうまくいかないと、勝てないと思っていた。
とにかくレースのスタートから、100%集中してフルプッシュして、とにかく300の最初の絡みをうまく処理することに専念したよ。
正直最初の序盤のSCが入るまで、ちょっと12号車の方が調子よかったから、すごいフルプッシュで大変だったね。

僕は、300の6周目くらいからうまくタイミングを掴んで、7周・8周とちょっとだけ差をひろげて。
9周目あたりから、どんどんガソリンが減って、軽くなってきて、車がよくなってきたね。タイヤのかかっている負担が減ってきて、ちょっと自分の走りができたと思ったら、そこでSC。
「あーーーーー、マージンなくなっちゃった......」って。
最初から最後まで、気を抜けなくて。身体に掛かっている負担や気持ち的には、とてもハードなレースだった。

──富士で優勝につながったマシンの良さはなんだった?

ブレーキと高速のダウンフォースのバランスの良さがキーポイントだったかな。
僕が大好きなブレーキのスタビリティ。コーナーに入るときに、車が4輪で接地して安定する。
富士は、コースのレイアウトがすごく難しいから、やっぱりブレーキが大事。

1コーナーのダウンフォースが少ない中、1コーナーのブレーキのスタビリティがあって、第2セクターの100Rも、ローダウンフォースの中でもスタビリティはよかったし、
やっぱり1コーナー、100Rで車がよかったら、第3セクターも間違いなくいいから。
それで、踏めたね。

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──そのほかにもコンディションが良かった理由は思いつく?


実は、ちょうど富士レースの前の週の日曜日に、イタリアの地元ベローナでモータースポーツのイベントがあったんだ。
イタリアから連絡があって、戻ってきてほしいと言われて。
その日程を見たら、「あれ、これは富士レースの前の週だ」と。

時差ボケとか辛いかなと思ったんだけど、いろいろ考えてみて、どうせ毎年結果悪いから、もしかしたら、今年時差ボケで逆に、流れが変わるんじゃないかなと思って参加したよ(笑)。

シーズンの終盤だったら、絶対断ってる。
でもまだ序盤だし、まぁこの過去何年よりも、結果はこれ以上悪くはならないし、精神的な面でも以前と比べてレースに向かっている途中の緊張感を他のことで紛らわしてもいいと思ってね。
イベントもとんでもなく良かったから、本当に帰って正解だったというか....リラックスできたのかもしれないね。

──ここ数年は後半戦から調子を上げるパターンが多かったけど、今年は2戦目で優勝。これからの戦い方に影響はある?


そうですね。
正直で言うと、もし開幕戦で勝ってたら、ちょっと心配。早すぎるかなと(笑)。
第2戦富士で勝ったことに関しては、今までと変わらないかな。もしかしたら、いつもより気持ちは楽かもしれない。
今までは、終盤で毎レース勝たなければいけないという状況でプレッシャーがあったから。なので富士で勝って、気持ち的には余裕ありますね。プラスになっていると思います。

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──次の第3戦タイへの意気込みは?


去年は初めてのタイで新しいサーキットだし、どういう路面、環境も含めてわからず、結果も残念だった。
でもタイのサーキットのレイアウトも、イベント自体の雰囲気もすごいよかったね。
今年は、早くタイに行って、またあのコースで、去年と同じ気持ちで早く走りたい。楽しみにしています。

──今後の目標は?


今僕は100%スーパーGTに集中しているので、4度目のチャンピオンしか考えていないね。
もし4度目がとれたら、日産もいろんなカテゴリーをやっているから、その後はちょっと違うチャレンジとかも考えるかもね。

2015.5.29